はじめに
厚労省は新型コロナウィルスワクチンの有効性は95%であると公表していて、いかに、ワクチン接種が有効かをアピールしています。
しかしながら、「有効性95%」の意味するところを、きちんと理解している人はほとんどいないと私は想像しています。
「有効性が95%もあるんだから、ワクチン接種をしておけば大丈夫にちがいない」
とあまり理解をせずに、ワクチン接種を受け入れてしまった人も多いはずです。
この「有効性95%」は根拠のあるものではありますが、一部の方から、別の見方をすれば、全く違う解釈になるとの意見が出ています。
ざっくり言ってしまうと、他のウイルス同様に、新型コロナウィルスはもともと感染率が低く、わざと感染させるようなことをしない一般的な環境では、9割以上の人が感染せずに済むことがわかっているので、そういった人も含めるとワクチンの効果は極めて限定的なものでしかないというものです。
ちなみに、今回の記事のネタ元は、ルイ・パストゥール医学研究センター 犬房春彦氏のYouTube(コロナワクチン3回目接種のメリットは!?〜イスラエル公開データより〜)内で取り上げられていた、京都大学名誉教授の川村孝氏(「論考」12月1日付)の計算内容、となっています。
本記事では、(1)厚労省の言う「有効性95%」の状況と、(2)川村孝氏の考え方のレビュー、を行ない、自分なりに解釈して説明を試みています。
結論 → 発症しにくくなるが、感染しなくなるわけじゃない。
以下の結論となります。
- 厚労省がワクチン接種の効果の根拠としている「有効性95%」とは、発症予防効果のことを指している。感染予防効果のことについては触れられていない。
- 発症しにくくなるが、感染しないわけじゃない、という話。
- その内容は、「必ず、発症するとわかっている人がいて、その人にワクチン接種をすれば、その95%が発症しなくなる」というものであった。
- 実際のワクチン効果(発症予防効果)は、同接種者のおよそ0.8%程度であって、それ以外の99%以上はワクチン接種有無の影響を受けない。つまり、ワクチン接種は、発症予防効果に影響をほとんど与えないという結果であった。(京都大学名誉教授の川村孝氏のレビュー)
有効性95%とは?(厚労省)→ 有効性とは発症予防効果のこと。
厚労省は、新型コロナウィルスワクチンの有効性について、説明をしています。 → ファイザー社の新型コロナワクチンについて→さらに詳しい情報 有効性について(臨床試験の概要)
多くの人は、有効性と聞くと、感染予防効果の有効性を思い浮かべると私は、想像するのですが、厚労省が言っているワクチンの「有効性」とは発症予防効果のことを指しています。つまり、感染のことはおいておいて、発症さえしなければ、とりあえずいいだろうということのようです。あるいは、ワクチンに高度な感染予防効果を求めるのはかなり難しいことなので、触れられないのかもしれないです。
一般人の有効性95%のイメージ→ 感染しない、と思っているはず!
下図に、私が想像する、「ほとんどの人が抱いているであろう、ワクチン有効性95%のイメージ」を描いてみました。後述の説明の条件を合わせるために、ワクチン接種した人数を2万人としています。
新型コロナは、当然ながら「感染後に発症」するわけですが、医療関係者ならともかく、一般の人は「感染」(しないこと)ばかりに頭がいっていて、「発症」のことまで想定している人はほとんどいない、と私は想像しています。あるいは、「感染」と「発症」の区別ができておらず、「感染」=「発症」であると思っている人は多いはずです。
私が思いますに、ワクチン有効性95%というと、ワクチン接種者の95%全員が、無条件で「感染なし」のままでいられる、のようなことを思っていると想像しています。
また、ワクチンの予防効果の維持期間(いつまで持つか?)のことを考慮している人も少ないと考えています。最近の3回目接種で、ようやくそのことが知らしめられるようになりましたが、ワクチンの予防効果は、接種すれば、ずっと効果が永続するわけではなく、実際には、接種後、半年程度で、予防効果が例えば、半減とかになりますので、繰り返し、接種を継続する必要がある、ということになります。ワクチンの予防効果がいつまで維持できるかについては、こちらに記事にしています。→ 「ワクチンはいつまで効果が継続するのか?→感染予防効果は約5ヵ月で半減!新型コロナウイルス」
しかし、根拠となっている臨床試験の内容をよくみてみると、だいぶ、上図のものとは違っていました。次項を参照ください。↓
実際の有効性95%のイメージとは? → 発症しない、という話
下図は、厚労省の提示資料のワクチン有効性95%の臨床試験の様子を、イメージ化したものです。ワクチン接種者数は、厚労省の実際の基データでは18,000人余りなのですが、京都大学名誉教授の川村孝氏(「論考」12月1日付)と同様、ワクチン接種者数をわかりやすいように、2万人ということにしています。
前述のように、新型コロナウィルスは「感染後に発症」します。発症までの流れは、ワクチン接種の有無によらず、「感染」あるいは「感染なし」のいずれかとなり、さらに「感染」した場合は、「発症」または「発症なし」のいずれかとなります。感染に関する情報(どんな環境で感染させたのか?、感染者数)は元データに載っていませんので不明でした。
2万人にワクチン接種した場合には、発症者数は8人、同接種しない場合は発症者は162人になった、というのが内容で、数字を丸くしていますが、厚労省の提示資料の内容のほぼ概略です。
ワクチン接種の恩恵を受けたのは、0.77%だけ
感染、発症の様子がよくわかるように、下図にグラフのイメージを示しました。
上図に示したように、2万人のうち、
- ワクチン接種しない場合、162人が発症。
- 同接種した場合、8人が発症。 → 発症するはずが、ワクチンのおかげで発症しなかった人は、20,000人中、162-8=154人(154÷20000=0.77%)
で、この154人(グラフ内の赤色の部分)がワクチン接種の恩恵を受けた人に該当します。
ワクチン接種なしでも、99.2%が発症なし以下
さて、一方で、残りの20,000-162=19,838人(19,838÷20,000=99.19%)は、「感染なし」または「感染したが、発症なし」だった、ということになります。感染はしているかもしれないけれど、少なくとも発症まではしてない、という状態です。
(感染しているかどうか(いわゆる無症状)も重要なファクターのようには思えるのですが)とにかく、発症さえしてくれなければいい、ということであれば、99.19%は、ワクチン接種の有無とは関係なかった、というのが、この結果です。
つまり、ワクチン接種に効果があったのは、0.77%だけで、発症分を取り除いた、99.19%は、ワクチン接種をしようが、しまいがなんの関係もなかった、という結果です。もっというと、ワクチンを打ったところで、ほとんど発症には影響を与えないというものです。
無症状の患者の感染率は、有症状の3倍から25倍低い
ここで、上記までの結果で、「感染しても症状なし」つまり、いわゆる「無症状・無症候」なら大丈夫なのか?、他に感染させてしまうんじゃないか?という疑問が沸いてきます。どうやら、無症状であれば、他への感染力は低いようです。ここでは詳述しませんが、無症状者の感染力について触れたサイトがありましたので、参考にしてみてください。→ 新型コロナウィルスは無症状・無症候の人から感染するのか
まとめ
上記の「有効性95%」の内容は、「絶対、発症するとわかっている人がいて、その人にワクチン接種をすれば、その95%が発症しなくなる」という話でした。ですが、実際には、だれが、確実に発症するのかは誰にもわからないし、ほとんどの人が発症にまで至らないわけで、ワクチンの効果がなさすぎて、「そもそも、ワクチン接種をする必要があるのだろうか?」ということになります。