はじめに
日本では、2022年初めから、本格的に3回目接種が開始されます。海外の国でも3回目接種が進められています。
こういった世界の動きに対して、EUの医薬品規制当局は繰り返しのブースター接種(追加接種)を行なうことは、悪影響を及ぼすと警告しています。このニュースは日本ではほとんど取り上げられていないと思います。
本記事では、日本で進められている3回目接種(ブースター接種)は、オミクロン株の予防には全く間に合わない上に、おススメできない理由についてまとめました。
結論
以下の結論となります。
- EUの医薬品規制当局は、新型コロナウイルスワクチンのブースター接種を頻繁に行うと免疫反応に悪影響を及ぼす恐れがあると警告している。
- 日本での3回目接種施策は「とりあえずワクチンしておこう」というような態度が伺え、もっとワクチン接種について慎重な対応を取るべきであると考える。
ブースター接種への警告についての報道の内容
ブースター接種(追加接種)の繰り返しの警告について、以下の報道がありました。
ブースター接種の繰り返し、免疫反応に悪影響も-EU当局 (訂正)(Bloonberg 2022/1/13)
欧州連合(EU)の医薬品規制当局は11日、新型コロナウイルスワクチンのブースター(追加免疫)接種を頻繁に行うと免疫反応に悪影響を及ぼす恐れがあると警告した。
欧州医薬品庁(EMA)は、4カ月ごとのブースター接種を繰り返すと最終的に免疫反応が低下する可能性があると指摘。各国はブースター接種の間隔をより空け、インフルエンザ予防接種戦略で示された青写真のように寒い季節の到来に合わせるべきだとの見解を示した。ブースター接種についてEMAでワクチン戦略などの責任者を務めるマルコ・カバレリ氏は「一度や二度ならともかく、何度も繰り返すべきと考えるものではない」と指摘。「現在のパンデミック(世界的大流行)の状況から、よりエンデミック(地域的流行)の状況にどう移れるかを考える必要がある」と記者会見で語った。
この報道は、「ワクチン接種は、1,2度で止めておくべき」、「短期間でブースター接種を繰り返すべきではない」という内容になっていて、昨今の「感染拡大防止のためなら、どんどん短期間に繰り返しワクチン接種すべし」というような空気に警鐘を鳴らす、まっとうな内容と思います。
そもそも、短期間でワクチン接種を繰り返す場合、次のような問題があると考えられます。
- 国のワクチン接種体制の構築、維持が大変。
- 莫大なコストがかかる。
- 次々に変異するウイルスに対してワクチン開発、製造が困難、というか無理。
3回目接種完了はいつ? → ずっと先、5月?!
オミクロン株の感染拡大が目の前で起こっているので、政府としては、焦って、ワクチン接種で感染拡大が防げることをあてにして、とにかく早く3回目接種を進めたいようです。しかし、どう見たって、3回目接種は早々に完了しそうにはなさそうです。
下図は、追加接種のスケジュールの見込みを表したものです。
当初、3回目接種も1,2回目接種の時と同様に、高齢者優先で行われる予定でしたが、変更され、特に優先順位を設けず、接種することになったようです。
上図に示したように、3回目接種については、一部、早くから始まっている地域もありますが、早くて2022年の1月下旬、大抵は2月からの開始となっています。3回目接種は、1回分だけの接種なので、昨年の半分の時間で接種が完了できるはずですが、昨年のペースで接種できたとして、5月ぐらいに完了する見込みとなります。実際には、いろんな要因で夏あるいは秋までのびると思います。数百人レベルの少人数の接種なら一瞬で完了できますが、日本国民全員に接種、ということになれば、これぐらいの時間がかかるのは当然でしょう。
また、「もう、あんなキツイ副反応のある接種はしたくない」「ワクチン接種しても関係なかった」「3回もワクチン接種したくない」など、様々な理由で、3回目接種を受けない人も出てくる可能性があって、3回目の接種率はどれほどになるのかは不透明です。
3回目接種が始まったばかりの頃に、オミクロン株は収束か?
これに対して、今、感染拡大中のオミクロン株の感染ピークが1月下旬から2月中旬かも、とも言われていますので、3回目接種率が、やっと2,3割に達した頃、オミクロン株が収束して、「あれ、3回目接種は必要ないじゃん?」という風になる可能性もあり得ます。今後の感染状況が注目されます。
3回目接種をおススメできない5つの理由とは?
私の意見としては、以下の理由で、3回目接種に疑問があります。
- ワクチンの型が今となっては古い。今のワクチンは2年前の従来株を念頭に開発されていて、もはやオミクロン株に適合しているとは思われない。
- 3回目接種の効果が不明。接種後に抗体が増えることはわかっているが、予防効果が実際にあるかは実証実験できていない。
- 安全性が不明。3回目接種については実証実験できていない。
- ワクチン接種後の副反応の程度は、前回の1,2回目の接種と同様であることがわかっていて、強烈なものが起こる場合がある。そのようなリスクを冒して接種必要があるか?
- オミクロン株は弱毒化していて、ほとんど重症化しないことがわかっているのに、わざわざ強烈な副反応の起こるワクチン接種の必要があるのか?
今のワクチンは、そもそも、2回の接種で免疫が得られ、それで完了、という設計です。感染拡大をなんとか防がないといけないという状況とはいえ、そのような製品を、繰り返し3回接種した場合にどうなるかが、あまりわかってない状態なのに、どうして接種できるのかが理解できないです。
最後に
今後のオミクロン株の感染の広がりがどうなっていくかが注目されます。しばらくしたら、新しい変異株が出てくるというパターンもあり得ますね。