はじめに
インターネットでヤフーのページを開いたところ、3回目接種を推進する政府広報の広告が流れてきました。ワクチン接種は強制ではないということなのに、こうして広告までしてくるので、「ウザイなあ」と思う人は多いはずです。
ワクチン接種は、ブレークスルー感染がもはや当たり前となっていて、その感染予防効果が期待できないことは、誰もが知っている上に、第6波は既にピークアウトしているので、感染者数が今後、一気に減ってきて、もはや、ワクチン接種しても効果が期待できないのに、政府がこういった広告を行なっているとは、疑問を感じざるを得ないです。
今流れている、今回の広告は、いつもの尾身会長や忽那賢志先生では、評判が良くないのか、もう都合が悪いようで、新顔の国立感染症研究所所長の脇田隆字 氏のバージョンです。
本記事では、広告の中身について、ツッコミを入れたくなる内容だったので、その箇所を上げてみます。
結論
以下の結論となります。
- 追加接種を推奨するための、政府広報によるネット広告(国立感染症研究所所長の脇田隆字氏バージョン)を、厚労省公表の情報とよく比較してみると、オミクロン株に対する追加接種の効果を正しく説明しておらず、内容が不正確なものであった。
ワクチン3回目接種のネット広告(政府広報)
3回目接種推奨のためのネット広告の内容
対象の広告は、ヤフーのトップページで流れていたもので、以下のものです。15秒です。音声なしのGIFにしてあります。実際は、音声ありを選択できます。
広告の主な内容
政府広報によるワクチン接種の推奨の広告の主な内容は、下表のようになっています。
タイトル | 追加接種(3回目接種)のお知らせ |
登場人物 | 国立感染症研究所 所長 脇田隆字 氏 |
広告の種類 | ネット広告。Yahoo JAPANのトップページの右側、最上部の最も目立つ位置。約15秒の動画。 |
広告の確認日 | 2022/2/15 |
公開日 | 2022/2/1(政府広報のページによる) |
動画内 セリフ | ワクチンの3回目接種で重症化や発症を予防する効果が高まると報告されています。 ファイザー社、武田/モデルナ社、どちらのワクチンでも効果が期待できます。 私も3回目の接種をします。 |
動画のツッコミどころ
対象の動画に対して、以下の点についてツッコミを入れたいと思います。
- 説明とエビデンスとして示しているグラフが異なっている。
- 厚労省の説明では、説明にあるような重症化や発症を予防する効果が高まるという説明がなされていない。
- モデルナ接種での心筋炎発生リスクを説明していない。
- 厚労省の説明では、2社ワクチンで効果が期待できるのは、入院予防効果だけであって、他の予防効果は期待できないものだった。
1.説明とエビデンスとして示しているグラフが異なっている。
グラフを示して「ワクチンの3回目接種で重症化や発症を予防する効果が高まると報告されています。」と説明していますが、示しているのは、感染予防効果のグラフになっていて、エビデンスになっていないです。同氏が示しているグラフは、下図です。
誰もわからないと思っているのか、適当なグラフを使っているとは、信じられないです。ちなみに、オミクロン株に対する感染予防効果については、厚労省はノーコメントで、追加接種による効果を説明しているページでなにも触れていません。
2.厚労省の説明では、説明にあるような重症化や発症を予防する効果が高まるという説明がなされていない。
動画内で、同氏は「ワクチンの3回目接種で、重症化や発症を予防する効果が高まると報告されています。」と説明していますが、厚労省の対象の説明ページを確認すると、追加接種によるオミクロン株に対する重症化予防効果には触れられていないし、追加接種により発症予防効果は確かに回復するけれども60%程度にまでしか回復しないという、同氏の説明とは異なる内容が記載されています。詳しくは、「3回目接種でどれくらい感染・発症・重症化予防効果が復活するのか?オミクロン株」
3.モデルナ接種での心筋炎発生リスクを説明していない。
モデルナでは、若年層で心筋炎が起こることを説明しておらず、ファイザーと同列で推奨しています。mRNAワクチンはもともと心筋炎を起こす傾向があり、ファイザーは問題のないレベルとされていますが、モデルナについては、海外のいくつかの国では、若年層に対して、使用制限、あるいは使用禁止にされています。日本では、モデルナ品でそのようなことがありうるとアナウンスしたのみで、使用制限などは行われていません。詳しくは、「心筋炎、重大な副反応として呼びかけへ!mRNAワクチンの特性 海外各国では制限済み。新型コロナウィルス」
4.厚労省の説明では、2社ワクチンで効果が期待できるのは、入院予防効果だけであって、他の予防効果は期待できないものだった。
オミクロン株に対する追加接種の効果についての厚労省の対象の説明ページによれば、追加接種で予防効果が十分に回復するのは入院予防効果だけで、発症予防効果は60%程度(接種直後のみ)、感染予防効果と重症化・死亡予防効果についてはノーコメントでした。詳しくは、「3回目接種でどれくらい感染・発症・重症化予防効果が復活するのか?オミクロン株」
30秒版はこちら
ちなみに、元の動画(30秒版)は、政府広報のページにあります。15秒版とセリフが違います。
動画内 セリフ | ワクチンの3回目接種が昨年12月から始まりました。 2回目の接種後、高齢者の重症化を予防する効果は低下すると指摘されていますが、3回目の接種により、再び効果が高まると報告されています。 ファイザー社、武田/モデルナ社、どちらのワクチンでも効果が期待できます。 私も3回目の接種をします。 感染の拡大を防ぎ、重症化を予防する観点から皆様にも追加接種(3回目接種)をおすすめします。 |
最後に
国立感染症研究所の所長なので、ちゃんとしたことを言っていると思いきや、こうして見てみると、結構、不正確なセリフになっていて、後日、問題化するような内容ではないかと思っています。追加接種を検討している人は、上記の内容をよく、ご自分でご確認しただきたいと思います。